ランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)は、四肢の筋力低下、ドライマウスや便秘などの自律神経症状などを特徴とし、進行すると歩行や起立が困難になる神経筋疾患です。1950年代にこの症候群に関する重要な報告を行った2人の神経学者、E.H.ランバート博士とL.M.イートン博士にちなんで名づけられました。
わが国で調査された研究によると、10万人あたりの有病率は 0.27人と推定されています1)。諸外国の有病率をみると、たとえばオランダでは0.25人2)、米国では0.26人3)と推定されており、日本との大きな違いはみられません。
LEMSは腫瘍との関連が認められています。悪性腫瘍の合併率は 50~61%とされており、腫瘍の内訳としては小細胞肺癌の合併率が 42~61%と多いことが示されています4,5)。わが国の研究では、LEMS患者さんの46.7%が腫瘍を合併し、そのうち小細胞肺癌の頻度は 71.4%と最多でした1)。
男女比は2:1、発症年齢は17~80歳(平均62歳)と報告されています5)。腫瘍のあるLEMS患者さんでは男性が多く(78.6%)、平均発症年齢は 67.1歳、腫瘍のないLEMS患者さんでは女性が多く(68.8%)、平均発症年齢は 57.8歳となっています1)。
わが国におけるランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)の特徴
性差・発症年齢──男女比は2:1。発症年齢は17~80歳(平均62歳)
腫瘍の合併率───46.7%(そのうち小細胞肺癌の頻度は71.4%)
腫瘍のある場合──男性が多く(78.6%)、平均発症年齢は 67.1歳
腫瘍のない場合──女性が多く(68.8%)、平均発症年齢は 57.8歳
- Yoshikawa H, et al. : BMJ Neurol Open 2022; 4: e000291.
- Wirtz PW, et al. : Neurology 2004; 63: 397-398.
- Abenroth DC, et al. : Muscle & nerve 2017; 56: 421-426.
- O’Neill JH, et al. : Brain 1988; 111: 577-596.
- Nakao YK,et al.: Neurology 2002; 59: 1773-1775.